テニスコーチ4橋口裕和さん
知識や情報を更新し、指導者仲間とつながりながら、
自己成長し続け、相手の良さを引き出します
コーチの資格を取得するメリット
テニスのコーチを養成する専門学校に通い、学生のときにコーチ1の資格を取得しました。26年ほど前のことです。就職後、専門学校に戻って教員を十数年やりながら、テニス指導員、テニス上級指導員、テニスコーチなどの上位資格を何年かごとに取得し、最終的にコーチ4まで到達しました。資格ランクを上げれば、教える範囲が広がるからです。コーチ4は、ナショナルレベルや地域のトッププレイヤーに対して指導できる資格です。
指導者育成に長年取り組み、10年前に独立してからはジュニア選手や一般選手を指導しています。人を指導するにあたっては、自分の経験にとどまらず、日々更新される新しい知識や情報を得ることが大切だと思います。指導に悩むこともありますが、資格取得によって講習会への参加や指導者仲間との交流といったメリットを享受できます。取得後は4年ごとの更新の間に講習を受ける必要があり、学び続けている姿勢を示すことができます。
時代に合わせた指導スタイルへ
コーチングのスタイルは時代によって変化しています。僕自身も、以前は厳しく指導することが正しいと思っていましたが、年齢とともに相手と一緒の目線で指導するようになりました。しつけやマナー、礼儀を教えることも大事だと感じています。また、競技力を伸ばすためには、高圧的な態度ではなく、寄り添って良さを引き出すスキルが重要です。常に自己評価を行い、自分自身を向上させることを繰り返すことで、優れた指導を提供できます。
現在はパワハラなどの問題も存在しています。以前は許容されていた行為が問題視されることもあります。したがって、指導を職業にする場合は、必ず資格を取得することが重要だと思います。江東区の業務委託を受けてテニス教室を開催していますが、スポーツ協会等の有資格者であることが条件となっています。
指導者環境の整備がスポーツ振興の鍵
ワールドカップやWBC、ラグビーなどで一時的に盛り上がっても、すぐに忘れ去られてしまい、スポーツが文化として根付く難しさを感じます。競技人口を増やすには指導者環境を整える必要があり、適切に学んだ指導者の不在はスポーツが抱える問題の一つです。
これからも選手の良いところを引き出すために、試行錯誤しながら、時代に合わせた形で指導していきます。正解はありません。競技スポーツとしてだけでなく、生涯スポーツとして、より豊かにスポーツを楽しんでもらうことが大事だと思っています。