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岡美里さんがナビゲートする、
幾何学模様の東京武道館

岡美里(美術作家)
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東京武道館


 スポーツやレクリエーションを楽しめる場所として手軽に利用できる、都立のスポーツ施設。実は、名建築が多いことでも知られています。ここでは、建築好きやスポーツ観戦好き、街歩き好きの方をナビゲーターとしてお迎えし、その人独自のスタジアムの楽しみ方を語っていただくことで、スポーツ利用だけではない施設の奥深い魅力を紹介します。ご登場いただくのは、美術作家として活躍するほか、建築めぐりをライフワークとする岡美里さん。東京武道館を設計した、建築家・六角鬼丈さんの師匠、磯崎新さん好きの岡さんに巡っていただきました。

人を迎える受け皿としての建築物

 皆さんは、日本武道館以外に東京に武道館があるって知っていましたか? かくいう私は知りませんでした。しかも、私の大ファンである建築家・磯崎新さんを師匠にもつ六角鬼丈さんの建築とは……。

 JR、東京メトロ千代田線の綾瀬駅から徒歩5分の位置にある東京武道館。駅前から点在する遊歩道がつなぐ東綾瀬公園の一角に併設されていて、駅から歩いていくと菱形のパネルで埋め尽くされた武道館の外観が現れます。その姿に一瞬驚きというか恐ろしさも感じますが、よくよく見ていると、その菱形や三角形に光が当たってさざ波のようにきらめく様子が美しい。建物の中央部には、武道館の利用者以外でも通り抜けやひと休みができるような通路が設置されています。これは公園の一角にあることから、回遊性を保つために採用されたもの。ベンチに座って長電話をしたり、散歩をしたりする様子からも、この建物が地元に溶け込んでいる様子がわかります。

 「武道はスポーツというより心身の芸術であり、武道館には芸術性を取りこんだ施設がふさわしい」という設計者の六角さんの言葉があるように、スポーツ施設でありながら武道館という特徴を持つための施設はどうあるべきかを考え抜いた建物になっていると思います。戦国時代は戦いに勝つためのスキルであったものが、佇まいや間が重んじられるようになり武道として発展しました。そういった歴史背景までも六角さんは組み込んでいるのではないでしょうか。

「1角が60度の正三角形と、三角形を2つ並べた菱形が連なるシンボリックな外観。都のシンボルマークがいくつか隠れているそうなので、それを探すのも面白い!(私はひとつしか見つけられませんでした)」

「武道は芸術という六角さんのコンセプトから、敷地内には五輪の書にちなんだ『地・水・火・風・空』をテーマに五人のアーティストによるモニュメントが配置されています」(※火のモニュメントは2012年撤去)

「六角さんは、大学卒業後、磯崎新さんの事務所に勤務していました。遊歩道のベンチは、師匠の磯崎新さんの影響を強く感じます。ぜひ座ってみましょう」

「建築を見るときは、自分の好きなところから突き詰めていけばいいんです。私であれば好きな建築家の作った他の建物やその人自身のことを調べたりしますね」

 建物の中に入ると、あれだけ個性の強い外観とは対照的に、人を受け入れてくれる懐の広さを感じます。例えば美術館だと、建物は絵や作品を見せる役割をもっている。それと同じように、武道館はこの場所で武道をやる利用者がいる大前提があるので、建築自体が目立ちすぎてはいけない。だからこそ、外観は目立つものの、中に入るとそれほどデザインが主張していないのだと思いますし、そのギャップも面白いところですね。

 私は、建築を見るときは、人を迎える場所であるかを考えます。建築というとデザインや技術的な部分ばかりに目がいきがちですが、そこに居場所があるかどうかを体感するのも醍醐味のひとつ。自分の家やオフィス以外で心地いい時間を過ごせる場所をサードプレイスと呼びますが、居場所としての建築、人間との関係性はどう考えられている? という視点をもつと、足を運ぶ楽しみも広がります。

 東京武道館をひと通り見て歩いたことにより、私は武道をやってみたい、子どもにもやらせたいと思うようになりました。どうやら建築家の思惑に、まんまとはまってしまったようですね。

岡さんに教わる、「東京武道館」のココを見て!

  • ● 建物の内外にある三角形の数を数えてみよう!

  • ● 素材に注目。コンクリートや石の種類の違いによる奥行きをチェック

  • ● スポーツ施設とは一線を画す、武道館ならではの仕様

<弓道場(近的)に座っている岡さん>
「弓道場。射場と的には屋根があるもののその間はオープンになっているので、心地よいそよ風が吹いています。芝生と砂利にネットの影が映り込む様子は、まるで枯山水の庭」

<大武道場>
「菱形の天井が特徴的な大武道場。ギリシャ神殿の柱のようなあしらいもあり、“武道とはいえ純和風にはしたくない”という六角さんの気概が感じられます」

<第一武道場>
「第一武道場。こちらは、武家屋敷や城郭建築のニュアンスが強いデザイン。とはいえ、御堂を模したほかの武道館とは一線を画したいという建築家の意図感じとることができます」

<第二武道場>
「竣工から30年も経つのに、建物に合わせてデザインされた机やスツールが残っているのもすばらしい。円の中に満月のような光が浮かぶ鏡を使った演出はトリックアートのよう」

東京武道館

設計は六角鬼丈。1989年に竣工。
「雲海山人」という言葉コンセプトに、日本の情景にある山海の自然観や空の雲のような精神的な風景をひし形のモチーフを使って表現したデザインとなっている。 東京武道館の敷地内には5人のアーティストがそれぞれ「地・水・火・風・空」という自然の要素をテーマに作ったアートが配置されている。

<アクセス>
東京メトロ千代田線「綾瀬駅」徒歩5分

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