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東京体育館のレストランになぜ中東料理店?

昨年千駄ヶ谷にある東京体育館に、新しいレストランがオープンしました。

オープンしたのは、なんとアラビア料理店・・・

 

スポーツ施設になぜアラビア料理が? コシャリ、フムス、メルゲーズ・・・メニューを見ても謎だらけ。そこでレストランの管理運営を担う東京都スポーツ文化事業団の担当者と、レストランのオーナーに取材を依頼し、実際に話をお聞きしました。

 

  対談メンバー  

    志賀さん(東京都スポーツ文化事業団 東京体育館サービス運営担当課長)

    齊藤さん(東京都スポーツ文化事業団 事務局スポーツ戦略担当課長)

    柳堀さん(アーバンズ合同会社CMO)

    ※所属・役職は取材当時(2024年3月)のものになります。

志賀さん

東京体育館の管理をしている、サービス運営担当課長の志賀です。過去に鉄道会社、博物館、バーテンダーなどの経験もありますが、長いのは東京都スポーツ文化事業団になります。

 

齊藤さん

東京都スポーツ文化事業団事務局スポーツ戦略担当課長の齊藤です。東京都庁から派遣されて東京都スポーツ文化事業団は2年目になります。WEBサイト「SPOPITA」の運用に係る業務、SNSの発信などの広報業務を担当しています。以前は都庁で東京2020大会関連の業務を担当していましたが、6年前にNHKの「サラメシ」という番組にも出たことがあり、食に関する仕事は今回が2回目になります。

 

柳堀さん

アラビアンレストラン&カフェバーオアシスの運営会社「アーバンズ合同会社」代表の柳堀です。社会人になりたての22歳のとき、インターネット関連の仕事からキャリアをスタートしました。そのあと友人たちと今の会社を立ち上げ、8年目になります。その中でインターネットの事業もやりながら、キッチンカーを出したりと飲食の事業も始め、その後は店舗の仕事に移って水たばこのお店をつくりました。錦糸町にエジプト料理のお店「コシャリ屋コーピー」も立ち上げ、昨年から東京体育館のレストラン運営を受託しています。

WellnessとBeautyをコンセプトに 周辺地域の雰囲気を活かしたお店に

東京体育館のレストランをオープンするにあたり、どんな店づくりを目指していたのでしょうか、またジャンルやコンセプトなどについてどのようにお考えだったのでしょうか。

 

齊藤さん

WellnessやBeautyをコンセプトに、レストランの事業者を一から探して、話を聞きに行きました。手探りでしたし、今までに経験したことない斬新な仕事なので大変なこともありましたが、スポーツ施設に併設されたレストランとして、地域の皆様に末永く愛されるお店になってほしいと心から願っています。

志賀さん

体育施設というと少し男くささのある印象を持たれやすいですが、そうではなくお洒落な印象を与えられるといいなと思っていました。アラビアンレストランに決まったときには、とても斬新で今までにない選択だと思いましたし、担当者ではありますが一個人としても開業を楽しみに待っていました。

 

柳堀さん

東京体育館の附帯施設として、美と健康をテーマにメニュー構成やお店づくりをしていこうと思いました。周辺には、国立競技場や将棋会館、能楽堂、津田塾など、大人の雰囲気でありながらも時に情熱的になる場所と感じたため、その雰囲気を活かしたお店づくりをしたいと考えました。また、昔行った現地の中東料理のお店のカルチャーも伝えていきたいと思いました。

そして昨年の10月にアラビアンレストラン&カフェバーオアシスが無事オープンしましたが、オープンまでの間にどのような課題や苦労があったのでしょうか。

 

柳堀さん

レストランに必要な「人、モノ、お金」お店をつくる全てのものが十分ではなく、苦戦しました。会社としてもここまで大規模なお店を出すのは初めてに近かったこともあり、なるべく最善を尽くせるようにはしていましたが、なかなか思い通りに進まなかったです。

当初予定していたスケジュールも押してしまい、みなさまに迷惑もかけてしまいました。その中でも広報に協力していただいたり、叱咤激励もいただいて、お二人に前向きに応援してもらったことが嬉しかったです。

今後は結果でお返ししたいので、現状に甘んじずにやっていければと思っています。

 

志賀さん

オリンピックの準備で施設を閉鎖したことで地域との関係性も少しずつ薄れ、また新たにスタートしようと思った矢先にコロナが流行ってしまい、人の動きや飲食に対する見方も変わったことで、応募してくれる事業者を探したりなど公募に出すまでの準備には一苦労しました。

また、前のレストランの跡地で何もない状態からはじまり、設備などの状態を把握するのも大変でした。その中で、手を挙げてくださった事業者様には感謝しているし、受託してくださったアーバンズ様とは大変な調整もあったけれど、何度も打合せを重ねて無事に開業できて本当に良かったと思っています。

 

齊藤さん

いろんな事業者に話を聞きに行くのが大変で、話さえ聞いてもらえないこともあって何度も断られました。その時は辛かったですが、今思えばとても良い経験になったし、新しい取り組みに関われて楽しかったです。アーバンズさんが手を挙げてくれて、良い提案をしてくれてよかったと思っています。

数あるメニューの中 イチ押しメニュー紹介

オアシスでは毎週メニューが変わるウィークリーランチや、アラビアンスイーツ、グランドメニューも種類が豊富にありますが、その中で担当者がイチ押しするメニューはいったい何でしょうか。

 

齊藤さん

アボカドサワークリームコシャリです。エジプトの国民食で、「コシャリ」は混ぜ合わせるという意味だと伺っています。米やパスタ、豆などをまぜ合わせて食べる。健康的でヘルシーだし、腹持ちもいいので女性にも人気があると思います。とても気に入っていて、お昼ご飯によく頂いています。

 

志賀さん

私も一番はアボカドサワークリームコシャリ。東京体育館の職員にとっても常食になっていて、事前に予約してテイクアウトして食べているくらい好きです。

それからバクラヴァも好き。初めて食べた時、甘さと旨味の強烈なパンチが印象的だったので。パイ生地でサイズは小さいけど食べ応えがあるし、甘いもの好きにはたまらない。合わせたことはないですが、お酒にも合うと思うので、是非召し上がってほしいです。

あともう一品、食べたことないので食べてみたいのはオムアリ。

 

柳堀さん

オムアリは、エジプトのパイプディングと呼ばれる温かいスイーツ。ベースとしてミルクを入れ、ピスタチオなどのナッツやシナモンを入れてオーブンで焼き上げています。

「オム」がお母さん、「アリ」が男の子という意味で、「アリのお母さん」、“お母さんが出すデザート”というような意味合いがあり、家庭料理としてよく出されていると聞いています。

現地では極端に甘すぎるので、日本人の口に合うように甘さを調整してご提供しています。

 

齊藤さん

アボカドサワークリームコシャリはスパイシー感がありながらも、サワークリームとアボカドがマイルドにしてくれて美味しい。

 

志賀さん

バクラヴァはバター、パイ生地、ナッツ感、、これしか語れない・・・美味しい!

柳堀さん

私のお勧めのラムコフタも召し上がってください。ラムコフタはスパイシーなラム肉のハンバーグで、中東全般以外にアジア圏でも食べられています。国やお店によって、使用する香辛料が違いますね。

 

志賀さん

ラム肉は好きだけど食べられるお店が限られ、なかなか食べに行けないので有難い。合うお酒をお勧めしてほしくなります。このお店では、なんのお酒がお勧めですか?

 

柳堀さん

お酒は5種類くらい用意している中東地域の瓶ビールのほかに、中東ワインも人気です。意外に思われるかもしれませんが、宗教上基本的に自国でお酒を飲む方がほとんどいない国が多いですが、観光客向けに生産している国もあります。

今後は、国のバリエーションを増やそうと思っています。ワインは、実はエジプトが最古という説もあるくらい歴史があるんです。

オムアリも召し上がってみてください。

志賀さん

すごく手の込んだ味がして美味しい。パンプディングのような感じで、誰でも好きそうな味。香辛料も効いていて、コーヒーに合いそうです。

アラビアンレストラン&カフェバーオアシスの今後の発展

千駄ヶ谷の地にオープンしたアラビアンレストラン。誕生から半年が経過し、これから色々なイベントやコラボも検討されているはず。今後はどんな企画を検討しているのでしょうか。

 

柳堀さん

スポーツ施設の附帯施設であり、今年はオリンピックやW杯もあるので、そういったスポーツの大型イベントに合わせて盛り上がるようなイベントをやりたいです。また将棋会館も近くに引っ越してくると聞いていますので、棋士の皆さんにも召し上がっていただきたい。千駄ヶ谷という土地に根付き、「千駄ヶ谷にオアシスあり」というかたちを目指せればいいなと思っています。

 

志賀さん

積極的にPRしていき、メインアリーナや国立競技場のイベント来場者、地元の皆さまが気軽に立ち寄れる場所になっていけたらいいなと思っています。

 

齊藤さん

周辺の団体や施設と連携して地域を活性化し、レストランをフックとして東京体育館のブランディングができればいいなと思っています。

 

柳堀さん

日本は、多種多様な料理を食べる文化があります。中東料理はエスニックの一つとして位置付けられていますが、一般的である和食や洋食、中華のなかに、中東料理も並列したジャンルになり地位向上することを目指していきたいです。まだ食べたことのない方も多いと思いますが、ぜひ一度足を運んで食べてみていただきたいです。

 

志賀さん

旅にでも行かないとなかなか食べられない料理が食べられるのが魅力ですね。珍しい食べ物を食べることで刺激をもらえたり、話題のネタにもなるので、この記事を読んでいる皆様にぜひ食べに来て欲しいです。

 

齊藤さん

SPOPITAの担当として、SPOPITA  REPORTでは、今回のレストランのようなカジュアルな記事もたくさん投稿していきたいと思うので、ぜひ読んでください。アボカドサワークリームコシャリも食べに来てください。

3人の熱い想いをお聞かせいただき、ますますアラビア料理に興味が湧きました。今後レストランがどのように発展・変化していくのか非常に楽しみです。

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