アーチェリーは紀元前2万年(旧石器時代)頃、狩猟のために弓矢を使用したのが始まりとされています。スポーツとして確立されたのは、16世紀にイギリスの王ヘンリー8世がアーチェリーのコンテストを開催したのがきっかけでした。日本で本格的に行われるようになったのは1950年代後半に入ってからです。
オリンピックにアーチェリーが正式採用されたのは1900年のパリ大会。1924年のパリ大会からはしばらく除外されていましたが、1972年のミュンヘン大会から復活しました。
種目紹介
日本では主にターゲット、フィールド、インドアの3競技が行われています。いずれも2年に1回、世界選手権大会が開かれています。オリンピックではターゲットアーチェリーのリカーブのみ、パラリンピックではリカーブとコンパウンドの両方が実施されています。
アウトドア・ターゲットアーチェリー
屋外の平坦なグラウンドの射場で行われる競技。
フィールドアーチェリーラウンド
山の中や草原など自然の地形を生かして、森や山などの標的を設置したコースを回って行射する競技。
インドアアーチェリーラウンド
体育館などの屋内で行われる競技。
競技ルールと用語
標的(ターゲット・フェイス)を狙って弓で矢を放ち、標的に刺さった矢で得点を競う。体力や技術はもちろん、わずかな雑念がミスにつながるので、メンタルの強さが勝敗の決め手となる。
アウトドア・ターゲットアーチェリー
弓の形状によってリカーブ(的までの距離70m)とコンパウンド(的までの距離50m)という部門に分かれる。
リカーブ個人戦
- 競技方法
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70mの距離から制限時間4分以内に6本射ち、12回繰り返す(計72射)。70mラウンドといい、単独の競技会として数多く実施されている。年齢区分によって17歳以下を「キャデット」、50歳以上を「マスター」という種別として開催される競技会もあり、射距離を60mに短くして行う(60mラウンド)。
- 得点方法
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標的は直径122cmの円。中心から外側に得点となる色環帯が並んでいて、直径12.2cmの中心円が10点、一番外側が1点になる。決勝ラウンドはトーナメント方式で、1セット3射(30点満点)の合計点でポイントを決定し(勝ち2、負け0、引き分け1)、6ポイント先取で勝ちとなる(最大5セット)。
リカーブ団体戦
- 競技方法
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決勝ラウンドは上位16チームのトーナメント方式。
- 得点方法
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1セット6射(3競技者×2射:60点満点)の4セット制によるマッチ戦で、5ポイント先取で勝ちとなる(最大4セット)。1セットの制限時間は2分。
コンパウンド個人戦
- 競技方法
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50mの距離から制限時間4分以内に6本ずつ射ち、12回繰り返す(計72射)。コンパウンド50m ラウンドという。
- 得点方法
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標的は直径48cmの円。中心から外側に得点となる色環帯が並んでいて、直径8cmの中心円が10点、一番外側が5点になる。決勝ラウンドはトーナメント方式で、1エンド3射(30点満点)を5エンド射ち、その合計得点の高い選手が勝者となる。
コンパウンド団体戦
- 競技方法
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決勝ラウンドは上位16チームのトーナメント方式。
- 得点方法
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1エンド6射(3競技者×2射:60点満点)の4エンド制によるマッチ戦で、合計点(240点満点)の高いチームが勝者となる。1エンドの制限時間は2分。
ミックス団体戦
- 競技方法
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男女1人ずつのペアによる団体戦。上位16チームによるトーナメント方式。
- 得点方法
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リカーブ部門は1セット4射の4セット制、コンパウンド部門は1エンド4射で4エンドの合計得点で勝敗を競う。両部門とも、それぞれの団体戦と同じ距離と標的を使用して実施される。
その他のラウンド
- 競技方法
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上記以外にも、90、70、50、30m(女子は70、60、50、30m)の距離から36射ずつ計144射する1440ラウンドや60、50、40mの距離から30射ずつ90射する900ラウンドがある。
- 用具
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- 弓(ボウ)オリンピックや国体などで使われるリカーブボウと、弓の上下に偏心滑車の付いた コンパウンドボウがある。本体の一般的なサイズは64・66・68・70インチ。サイズは競技者のドローレングス(引き尺)で決まる。
- 弦(ストリング)一般的に超高分子量ポリエチレン繊維の弦を何本かより合わせて作られている。弓の強さや長さに応じて、太さと長さを変える。
- 矢(アロー)アルミニウム合金製やカーボン製。体格や弓の強さ、技術に合わせて、長さや太さを選ぶ。
- グラブ・タブ弦の擦から指を保護し、リリース(矢を放つこと)を滑らかにする。リカーブボウ用。
- チェストガード弦がウェアに引っかかるのを防ぐための胸あて。
- アームガード弓を持つ押し手の内側を弦の返りから保護する。皮革やプラスチックでできている。
- クイーバー(矢筒)矢・スコアカードなど小物類を収納する。
- スコープ矢が当たった場所を確認するための望遠鏡。当たった場所を見てサイト(照準器)の位置を調整する。
見どころ
相手の点数に心を乱されず、正確に的を射抜くには、弓をコントロールする強靭な筋力と精神力が求められます。プレッシャーに打ち勝ち、自分のパフォーマンスができるかが一番の見せどころ。重要な場面で平常心を保ち、集中力を高めていく緊張感は見る者にも伝わってきます。
大雨でも強風でも試合は行われるため、コンディションが悪いと番狂わせが起こりやすくなります。逆転も多く、最後の一射まで勝負がわからないのがこの競技の面白さです。
アーチェリーの矢のスピードは時速200~230㎞くらいで、その衝撃力は厚さ5mmの鉄板を打ち抜くほど。矢が飛んでいくスピード感や爽快感を味わいましょう。