視覚に障がいのある選手が行う5人制サッカー(別名ブラインドサッカー)。日本では 「ブラサカ」の愛称で親しまれています。1980年代に視覚障害のある選手がプレーできるように開発され、ヨーロッパや南米を中心に広まりました。
日本に紹介されたのは2001年。日本ブラインドサッカー協会の前身となる「音で蹴るもうひとつのワールドカップ実行委員会」が発足し、急速に広まっていきました。
パラリンピックでは、2004年のアテネ大会から正式採用され、日本代表は東京2020大会で初出場を果たしました。
競技ルールと用語
1チームはフィールドプレーヤー(FP)4人、ゴールキーパー(GK)1人の計5人。試合時間は20分ハーフの計40分(プレイングタイム)で、より多くの得点を奪ったチームの勝利となる。
フィールドはフットサルと同じ40×20mで、サイドラインには高さ1mほどの壁が設けられている。選手交代は前後半各6人まで。
- 競技方法
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FPはアイマスクを装着し、転がると音が出る専用ボールを使用して、その音や選手同士の声の掛け合いでボールの位置を把握してプレーする。敵陣ゴールの裏にガイド(コーラー)が立ち、ゴールの位置と距離、角度などをFPに声で伝える。
聴覚を頼りにする競技のため、観客は競技の妨げにならないよう、プレー中に声や音を出して応援することはできない。- ボイ!
- FPは危険な衝突を避けるため、ボールを持った相手に向かっていくときに、「ボイ(スペイン語で「行く」の意)!」と声をかけて自分の存在を相手に伝える。
- ガイド(コーラー)
- 攻撃エリアにボールがあるとき、敵陣ゴールの裏から具体的なゴールの位置や距離、角度、シュートのタイミングなどの情報を選手に声で伝える。
- 監督(またはコーチ)
- 選手交代の決定などに加えて、中盤エリアにボールがあるときは自陣のサイドフェンスの外から声で選手に指示を与える。
- ポジションと特徴
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- フィールドプレーヤー(FP)
- 視力差を公平にするため、FPの4人は目の上にアイパッチを貼り、アイマスクを着用することが義務付けられている。試合開始時や交代で選手が入るときは、審判によるチェックが入る。
- ゴールキーパー(GK)
- 晴眼者もしくは弱視者が務める。守備エリアにボールがあるときは声を出して選手に情報を与えることができる。GKは 縦2×横5.82mのゴールエリアの外では、ボールに触れることはできない。
- 得点方法
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1ゴールを1点とし、より多く得点したチームが勝ち。
- 反則
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- ノーボイ
- 選手同士の衝突を避けるための声がけのルール「ボイ!」と言わずに向かっていくこと。
- 接触プレー
- ハンドや相手をつかむ、脚をかけて倒すなど。
※ペナルティエリア内での反則は相手チームにPKが与えられ、ペナルティエリア外での反則の場合は、反則があった位置からのフリーキックとなる。また前後半それぞれでチームの合計ファウル数が5回を超えた場合は第2PKが相手チームに与えられる。通常のPKはゴールまでの距離が6m、第2PKは8m。
- 用具
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- ボールフットサルと同じサイズ。表面の革の裏側に円盤状の鉛の容器が貼りついていて、その中に鉛の玉が入っている。日本のボールは鉛の容器が7個程度貼りつけられていて、転がるとシャカシャカと音が出る仕組みになっている。
選手たちはこの音を頼りにボールの位置を把握し、ドリブルやパスをしてプレーしている。 - ヘッドギア選手同士の頭がぶつかって負傷しないように装着(国内ルールのみ装着が義務付けられている)。
- アイマスク選手には、光を感じる程度から全く感じない全盲まで視覚に差があるので、全選手が公平な条件でプレーできるよう、アイマスクの装着が義務付けられている。
- サイドフェンスボールがサイドラインを割らないように、高さ1mほどのサイドフェンスが設置されている。選手がピッチの大きさや向きを把握する助けにもなり、フェンスの跳ね返りを利用したパスやトラップなどのプレーも認められている。
- ボールフットサルと同じサイズ。表面の革の裏側に円盤状の鉛の容器が貼りついていて、その中に鉛の玉が入っている。日本のボールは鉛の容器が7個程度貼りつけられていて、転がるとシャカシャカと音が出る仕組みになっている。
見どころ
選手たちがピッチを走るスピードやキレのあるドリブル、正確なパス、連携からの狙いすましたシュートなど、音を頼りに繰り広げられるスピード感あふれるプレーに圧倒されます。
ボールを扱う技術はもちろん、選手同士や声でサポートする人たちとの「音」と「声」によるコミュニケーションにも注目しましょう。