「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングは、15~16世紀にスコットランドもしくは北欧の国で始まったとされています。丸い石が回転(カール)する様子が、髪の毛がカールする様に似ていたことから名付けられたといわれています。
1998年の長野大会からオリンピックの正式種目となりました。


競技ルールと用語

4人制の男子、女子、ミックスに加えて、男女1人ずつのチームで行われるミックスダブルスがある。正式な大会は一般、ジュニアとシニア部門に分かれて開催される。
競技性に加えてゲーム性も楽しめるカーリングは、4人編成(リザーブを入れて5人)の2チームが長方形の氷上で競い合うチームスポーツ。リンクは長さ42.07×幅4.28m。

- 競技方法
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1人が2投ずつ、1チーム計8個のストーンと呼ばれる取っ手のついた丸い石を氷の上で相手チームと交互に投げて滑らせ、約37m離れたハウス(目標区域の円)の中に入れて得点を競う。ハウスの中心に1番近いストーンを持つチームだけが得点できる。一区切りをエンドと呼び、1試合は通常10エンドで行われる。
投球時にはスキップがアイスコンディションを読み、作戦を考え、指示を出す。投球者以外の2人がスイーパーとなり、投げられたストーンの前をブラシで掃くスイーピングを行う。スイーピングによって摩擦を減らし、ストーンの距離や速度を伸ばしたり、方向を調整したりして、コントロールする。
1試合当たりのスイーピングは約2000mといわれる。
スキップはスイーパーに的確な指示を出すことで、より精度の高いショットを狙う。投球者には、微妙なウェイト(スピード)コントロールとラインコントロールが要求される。
- ポジションと役割
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投げる順番によって、リード、セカンド、サード、スキップの4つのポジションに分かれている。
- リード
- 最初に投げる選手。決めて当然のショットを安定して決め続けるような、職人肌タイプが向いている。
- セカンド
- 2番目に投げる選手。相手の石をはじくテイクや流れを引き寄せるショット力が求められるポジション。
- サード
- 3番目に投げる選手でスキップの投球時には指示をする。スキップと他の選手の潤滑油となるバランサーの役割も担う。
- スキップ
- 最後の投球を担当するチームの司令塔でありエース。作戦を立てる頭脳と最後の投球を決める強い精神力が求められる。
- フィフス(リザーブ)
- メンバーがプレーを続行できなくなった場合には、その代わりを務める控え選手。コーチとともにストーンの分析をして、選手が投げる石の選択を担うこともある。
- 得点方法
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両チームがすべてのストーン(1チーム8個/1エンド、計16個)を投げ終わった時点で、ハウスの中心に1番近いストーンを持つチームだけが得点でき、相手チームより中心に近いストーンはすべて得点となる。
カーリングはフェアプレー精神が重視され、基本的に得点はセルフジャッジで行われる。どちらの石が近いかの判断は両チームの合意で決定され、選手側からの要請があった場合に限り審判が判定を下す。目視で一番近いストーンを判断できないときは、0.25mmの差まで測定できるメジャーを使用する。
- 用具
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- ストーン直径約30cm、重さ約20kg、プラスチック製ハンドルがついた丸い石で、表面は滑らか。世界選手権やオリンピックで使用されるストーンはスコットランドのアルサクレイグ島特産の密度の高い花崗岩で作られている。
- シューズ氷をグリップする専用シューズで、左右で靴底が異なる。片方が軟質なゴム製で滑りづらく、もう片方はステンレススチールやテフロンで摩擦が少なく滑りやすい素材でできている。右投げの選手は左足、左投げの選手は右足に滑りやすいシューズを着用する。
- ブラシスイーピングに用いるデッキブラシのような形状の道具。長さや素材は自由。柄の部分はグラスファイバーやカーボンのような強くて軽い素材でできていて、ヘッドはナイロンのような合成繊維のものが主流。ヘッド部分の布はWCF(世界カーリング連盟)に承認されたものを使用する。
- 掛け声
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スキップからスイーパーへの指示として、試合中にはさまざまな英語の掛け声が飛び交う。
- ヤップ「スイープをして(掃いて)」という意味の掛け声。
「イエス」「ヤー」ということも。ストーンを進めたいときに使う。 - ウォー「スイープをやめて」という意味の掛け声。
「ノー」「オフ」「アップ」ということも。ストーンの速度を落としたいときに使う。 - ハード「もっと強くスイープして」という意味の掛け声。
ストーンの速度を落としたくないときに使う。 - ハリー「もっと速くスイープして」という意味の掛け声。
ストーンの速度を落としたくないときに使う。 - クリーン「軽く掃いて」という意味の掛け声。
ストーンの前のゴミを取り除きたいときなどに使う。
- ヤップ「スイープをして(掃いて)」という意味の掛け声。
見どころ
サッカーやバスケットボールのような選抜の代表チームではなく、単独チームが日本代表となるのがカーリングの特徴です。作戦、投球、スイーピング、投げた後のコール、フィフスのサポートと、控えも含めたチーム5人の一体感が大事で、全員で戦略を決めていくのが醍醐味。
一投で一気に局面が変わるため、最後まで勝負がわからないのが面白いところ。自分ならどこを狙うか投球を予測しながら作戦を理解していくと、より楽しくなるでしょう。