ジャンプ競技は、1840年頃のノルウェーのテレマーク地方が発祥の地とされています。1877年に最初のジャンプ競技会がノルウェーで開催されました。
冬季オリンピックでは、第1回大会となった1924年のシャモニー大会からノーマルヒルが実施されています。その後、1964年のインスブルック大会からラージヒルも正式種目になり、1988年のカルガリー大会から団体が追加されました。また、2014年のソチ大会から女子ノーマルヒルが正式種目となりました。
種目紹介
ジャンプ台の大きさ(ヒルサイズ)や形状、K点(飛距離の基準点)までの距離などにより、5種目に分けられます。
ノーマルヒルとラージヒルは冬季五輪の正式種目で、ラージヒルは男子のみです。国際スキー連盟(FIS)ワールドカップのフライングヒルも男子のみの種目で、そのジャンプ台は現在世界で5か所にしかありません。
- スモールヒルK点20~49m
- ミディアムヒルK点50~84m
- ノーマルヒルK点85~109m
- ラージヒルK点110~184m
- フライングヒルK点185m以上
競技ルールと用語
ジャンプ台の大きさ(ヒルサイズ)や形状、K点(飛距離の基準点)までの距離などにより、スモールヒル(K点20~49m)、ミディアムヒル(K点50~84m)、ノーマルヒル(K点85~109m)、ラージヒル(K点110~184m)、フライングヒル(K点185m以上)の5種目に分けられる。
- 競技方法
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スキー・ジャンプは、いかに遠くへ美しく飛ぶことができるかを争う競技。飛距離点(飛んだ距離)と飛型点(空中でのフォーム、着地のテレマーク姿勢)の合計点で順位を決める。
近年ではスタートゲートの位置や風の状況も点数に影響してくるため、より緻密な技術と戦略が必要になっている。- K点
- これまではドイツ語のクリティッシュ・プンクト(英語のクリティカル・ポイント)で「極限点」の意味だったが、現在のK点はヒルサイズのこと。コンストラクション(Konstruktions(ドイツ語)=建築基準点)の意味で使われている。
つまり、何mまで飛行可能な設計をしているジャンプ台であるかを示していて、K-90のジャンプ台は、90mまで飛べるように設計されていることを表している。
- シャンツェ
- ドイツ語の「Schanze」で、ジャンプ台のこと。
- スターティングゲート
- 選手がスタートする位置。
- テレマーク姿勢
- 着地の際に足を前後に開き、腕を左右に開いた安定した姿勢。
- バッケンレコード
- 個々のジャンプ台で選手が飛んだ最長不倒距離。
- ヒルサイズ(HS)
- 踏み切り台の先端から安全に着地できる目安となる地点までの距離のこと。
- P点
- 標準点のことで、青いラインで示されている。
- V字ジャンプ
- スキーの先端を開いて「V」の字のようにした飛行フォーム。高い揚力が得られることから、現在の飛行スタイルの主流になっている。
- 審査方法
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飛距離点と飛型点の合計点で順位を決める。通常2回のジャンプを行い、1回目の得点と2回目の得点を合計して得点の高い選手から順位が決まる。
1回目終了後、天候が悪くなり、2回目がキャンセルとなった場合、1回目の成績でゲームは成立する。- 飛距離点
- ジャンプ台のK点を基準に算出。K点まで飛ぶと60点が与えられ、K点を越えると1mにつき決められた点数が加算。K点まで到達しないと1mにつき決められた点数が減点される。
1mあたりの点数は、ジャンプ台のK点により定められており、この飛距離点にゲートと風速・風向きによる加点・減点が加味される。
- 飛型点
- 5人の審判によって採点される。審判員はテイクオフ終了から(カンテを飛び出してから)アウトラインの転倒ラインを通過するまでの選手の継続した動作を外見の正確性、完成度、安定性及び全体の印象から採点する。
審判員は1人の選手に対し、20点満点から減点法で採点する。減点となるのは、飛行中(ヒザの伸びやスキーの位置などで最大5ポイント)、テレマークを入れない(最大4ポイント)、テレマークが不安定(最大3ポイント)、転倒(最大10ポイント)。
5人の審判員の最高点と最低点を除き、3人の審判員の合計が飛型点となる(5審3採制)。- ゲートファクタージャンプ台のスターティングゲートの位置によって得点を加減する。ジャンプ台に基準となるスターティングゲートを設け、それより上のゲートを使った場合は減点とし、下のゲートを使った場合は加点する仕組み。
- ウィンドファクターノーマルヒルは5か所、ラージヒルは7か所で風を計測し、平均値を計算する。飛距離が伸びる向かい風なら減点し、追風なら加点するルール。ウィンドファクターの計算式はジャンプ台ごとに異なる。
- 用具・着衣
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- ヘルメットアルペンやさまざまなスキー競技で着用されるものと同じ、軽量化されたものを使用。
- スーツジャンプスーツと呼ばれるサーフィンのウエットスーツのようなものを着用。スーツはすべて同一素材でなければいけない。また、内側からも外側からも同一の空気透過量(1秒間に40ℓ以上)でなければいけない。
スーツの許容範囲はボディサイズ+2㎝。ただしブーツの上にスーツを収めるためにヒザ下の許容範囲を10cmとする。またグローブの上にスーツを収めるために最大許容差を4cmとし、袖先10cm部分に与えられる。 - スキー選手が使用できるスキー板の長さは決められている。BMI(体重÷身長〈m〉の2乗)で算出された数値を基準値とし、身長に対し最大で145%の長さのスキー板を使用できる。BMIは男女とも21以上なければいけない。
過剰な減量による健康への弊害を防ぐため、体重が軽い選手はスキー板が短くなるように測定表が設定されている。
見どころ
サッツ(踏み切り動作)の角度や飛行フォームに加え、テレマーク(着地姿勢)に注目してみましょう。両足を前後に開き、腕を水平に広げてピタッと決まった美しい着地時の姿勢は高得点に結びつきます。
飛距離が伸びても着地が乱れれば点数に大きな差が出てしまうため、テレマークは空中姿勢とともに飛型点に大きく影響する重要なポイントです。